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 解 説 14 第1編 遺産分割/第1章 遺産分割調停申立前養子の親との間に何ら血族関係はない(大判昭和7・5・11大民集11巻1062頁)。民法は、例え「被相続人の子の子」であっても、「被相続人の直系卑属でない者」は代襲相続はできないとしているから(民法887条2項ただし書)、甲の子の子であっても、直系卑属でないAは、代襲相続できない。もちろん、養子縁組後に生まれた養子の子は、養子の親と血族関係になり、「被相続人の直系卑属」といえるから、代襲相続できる。代襲相続人は、被相続人と血縁関係があることが必要である。被相続人Aには長女Bがいる。長女Bは、配偶者Cと結婚し、BとCとの間には、既に子Dがいる。被相続人Aは、孫Dがいる状態で、長女Bの配偶者Cと養子縁組した。その後、養子Cは死亡し、次いで被相続人Aも死亡した。この場合、孫Dは、Cの代襲相続人になれるか。孫Dは、代襲相続できる。民法の条文を素直に読む限り、Dは、養子縁組前の子であり、Aの代襲相続人にはなれない。しかし、「血縁関係を重視するのが立法の趣旨だから、配偶者Cを通じて直系卑属である必要はなく、ともかく被相続人の直系卑属ならよい」という立場が主流である(大阪高判平成1・8・10判タ708号222頁)。Dは、養子縁組前の子とはいえ、同時に、被相続人の孫でもあるから、代襲相続できる。設 例 2回 答

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