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Ⅱ 調査/1 相続人と相続分 17不在者財産管理人が選任されている場合は、その不在者の遺産は、不在者と連絡がとれるようになるまで、原則として不在者財産管理人が管理する。その場合、毎年、預かり遺産が管理費用と相殺されることになり、預かり遺産が管理費用で消えるまで任務が続く。しかし、実務では、他の相続人に管理させることもあり、これを「帰き来らい時じ弁べん済さい」という。家裁は、預かり遺産が100万円以下かどうかで、「帰来時弁済」にするか否かを判断する場合が多いが、事案によっては100万円を超えても、交渉次第では「帰来時弁済」を認めることがある。筆者は、300万円と500万円で、それぞれ「帰来時弁済」を認めてもらった経験がある。「帰来時弁済」が認められないときは、状況次第では失踪宣告も考慮する。違いは以下のとおりである。「相続の放棄」「相続分の放棄」「相続分譲渡」「遺産共有持分譲渡」の違いを認識する。相続の放棄相続分の放棄相続分譲渡遺産共有持分譲渡根拠条文民法938条〜なし熟慮期間3か月対債権者関係効果対抗できる対抗できない対抗できない対抗問題になる相続そのものをしなかった民法905条期間制限なし期間制限なし期間制限なし相続をした後に相続分を放棄した相続をしたが、相続分と相続人たる地位を譲渡した民法206条相続人たる地位は維持し、個々の遺産共有持分権を譲渡した相続放棄・相続分放棄・相続分譲渡・遺産共有持分譲渡2 帰来時弁済ポイントポイント

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