司法書士のための遺産承継業務
19/34

■▶第1 相続法の改正と適用時期第1章 相続手続を行う場合,被相続人の相続開始時の法律が適用されることになるため,相続法改正の変遷を理解しておくことが重要である。戦前の旧民法に基づく相続手続と,戦後の新憲法施行に伴う現行民法の施行は大きな改正であるが,戦後も何度か相続法の改正が行われているため,実務家としては,法改正の変遷と適用時期を抑えておく必要がある。以下,主な相続法改正の変遷を記しておく。(詳しくは,幸良秋夫『新訂設問解説 相続法と登記』(日本加除出版,2006年)1頁以下)1 明治元年〜明治31年7月15日 「太政官布告等」旧民法施行前であるため太政官布告等により行われていた。現在では,相続の開始がここまで遡ることはほとんどないであろう。2 明治31年7月16日〜昭和22年5月2日まで「旧民法」戸主の死亡又は隠居により家督相続が発生し,戸主以外の者が死亡した場合は遺産相続とするとして制度が分かれていた。3 昭和22年5月3日〜昭和22年12月31日まで「日本国憲法の施行に伴う民法の応急措置に関する法律」の施行戦後の新憲法が昭和21年11月3日布告され,昭和22年5月3日から施行されたが,新民法の改正作業が間に合わなかったため,昭和23年1月1日の新民法施行までの応急措置として,新憲法の理念(個人の尊厳と男女平等)に基づいた措置法が施行された。第1 相続法の改正と適用時期1遺産分割に関する相続法の基本原則

元のページ  ../index.html#19

このブックを見る