国交
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2 貿易型5第1 国際ビジネスの類型対して自社の利益をどう守るか,という大局的な整理に役立てていただければ幸いです。 ビジネスの基本形であり,代金回収と運送のリスク,商品についての責任が特に重要。物品売買ではウィーン売買条約も意識。 物品やサービスの売買を基本とする貿易型の取引は,内容は比較的シンプルですが,国際ビジネスにおける根本を成すものです。すなわち,他の類型は,貿易型の取引の発展形といえますので,貿易型取引は全ての取引の基本となり,そこでの留意点は他の取引にも共通して妥当することになります。⑴ 代金回収リスク 最も重要といえるのは,外国の取引先との間では代金回収のリスクとコストが極めて高い点です。取引先が代金を支払わない場合,それを回収するコストは,国内に比して格段に高くなります(第1編第2・8参照)。国内であっても,そのような場合は,取引先の資産を調査し,訴訟から強制執行まで法的手段を講じていくプロセスは時間とコストを要します。それが外国となると,日本の弁護士に加え,現地の弁護士を雇って,複数の選択肢の中から適切な法的手段を選択し,遂行していくことが求められます。外国の法的手続は日本よりもはるかに時間がかかり,また不公平である場合もあります。しかも,最終的に差押えなどの引当てとなる財産を見つけることはより困難ですし,上手く勝訴しても,現地の法制度においてその判決などがきちんと承認され,執行されるかどうかも定かではありません。そして,アジア諸国を筆頭に,取引先は順法精神が希薄である場合も多いことに加え,そのような代金回収のハードルの高さを知った上で,確信犯的に代金を支払わないことも珍しくありません。Point

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