7第1 国際ビジネスの類型(INCOTERMS。第1編第2・6参照)を用いた貿易条件が用いられることが慣例化しています。⑶ 商品についての責任 提供する物品やサービスについての品質保証やアフターサービスの条件を取り決めるべきことは国内取引でも同様ですが,国際取引では,これらを契約書で明確に定めるべき要請が強まります。物品やサービスが第三者の知的財産権を侵害していないことについての保証も同様です。 国内取引であれば,仮に契約書においてこれらの条件が曖昧であっても,日本の民法と商法を参照することで方向性は比較的明確になります。しかし,国際取引においては,外国の法律や,次に述べるウィーン売買条約が適用される結果,想定しない責任を課されたり,逆に想定していた責任を追及できないことが生じえます(第1編第2・5参照)。 したがって,品質や知的財産権などの保証については,売主の立場からは,何を保証するかを明示した上で,それ以外は保証しない旨を明確に定めることが重要です。逆に,買主の立場からは,保証してもらう対象は明示した上で,それ以外についての免責はできるだけ限定することが望ましいです。⑷ ウィーン売買条約 貿易型の典型である物品の国際的な売買契約においては,「国際物品売買契約に関する国連条約(United Nations Convention on Contracts for the International Sale of Goods = CISG = ウィーン売買条約)」の適用を常に検討する必要があります。ウィーン売買条約は,国境を越えて行われる物品の売買に関する統一的なルールの策定を目指した国際条約で,国際連合国際商取引法委員会(United Nations Commission on International Trade Law = UNCITRAL)が起草し,国連において1980年に採択され,1988年に発効しました。 2019年6月現在,締約国は89か国となっており,米国,カナダ,ブラジル,ドイツ,フランス,ロシア,中国,韓国,シンガポール,オーストラリアと
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