5⑴ 権利者の属性の転換⑵ 権利者の数の転換⑶ 財産権享受の時間的転換Q2 信託の特徴・機能律家や実務家の想像力の欠如にほかならない」といわれています(四宮和夫『新版 信託法』(有斐閣,1989)15頁)。信託の機能は多様であり,信託への信頼を確保しながら,実務のニーズに応じた信託の活用が求められているといえます。 財産の管理・運用の専門家でない者が,財産を専門家に信託し,管理・運用をしてもらう場合に,信託は有用です。信託財産は金銭のこともあれば,不動産の場合もあります。例えば,土地を所有する個人(委託者)が所有地にテナントビルを建築し賃貸業を営もうとする場合,専門家に土地を信託し,専門家(受託者)がその高い信用力を利用して資金調達し,ビルを建築してテナントに賃貸することにより,委託者(兼受益者)はその収益の配分を受けることができ,委託者は自らではできない土地活用が可能となります。 信託を利用して権利者の属性を個人から専門家(法人)に変更することにより,専門家の高い財産管理能力や信用力を利用することができ,さらには相続などの影響を受けないようにできます(相続財産は不動産から受益権に転換されています。)。 複数の権利者を単一にし,あるいは単一の権利者を複数にすることができます。例えば,複数の地権者が有する土地を一体として活用するために,信託を利用して権利を受託者に集約し,権利関係を簡明にすることができます。 また,賃貸ビルを信託して,その受益権を小口化して売却する場合は,権利者は単一から複数に転換されます。資産流動化において,有力な方法です。 自己や近親者などの将来に備えることを目的に,財産権の利益享受の時点を将来に延期する機能です。例えば,親(委託者)が浪費癖のある子(受益者)の将来の生活費に充てるため,信託を利用する場合です。この場合,受益者である子は信託に定められた時期に定められた給付を受けますが,信託2 転換機能
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