7_民信Q
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6⑷ 財産権の性状の転換第1章 信託の設定で認められた以上の給付を受託者に求めることはできません。信託により委託者の意思に従って長期的な財産保全が可能となります。 財産権が持っている性状を転換する機能です。例えば,不動産を信託した場合,受益者が有する権利は,受託者に対する受益権という権利に転換されます。例えば,不動産をそのまま流動化させることは困難ですが,受益権に転換することにより,それを小口化あるいは証券化して流動化させることが容易になります。 また,受益権の内容は,信託行為において定めることができることから,優先的に利益の配分を受ける受益権(優先受益権)と優先受益権が分配を受けた後に分配を受ける受益権(劣後受益権)を創設することも可能です。受益権に優劣関係を作ることにより,資産流動化スキームで投資家のニーズに合わせた権利を創出することができます。3 倒産隔離機能 信託では,信託財産は,委託者から受託者に移転して委託者の財産から切り離されるとともに,受託者の固有財産からも分別管理されます。その結果,信託財産は,委託者や受託者の固有財産からは独立した財産となり,委託者や受託者の債権者は,信託財産に対し強制執行できませんし(信託財産責任負担債務を除きます。Q25参照),委託者や受託者が破産しても信託財産は破産財団とはなりません。資産流動化スキームにおいて投資家の権利を保全するために重要な役割を果たします。 このような機能を倒産隔離機能といい,信託財産,ひいては受益権を有する受益者の保護を図ることができます。

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