7_民信Q
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iはしがき 2006年(平成18年)の信託法改正に伴い,財産の管理や承継等の分野において信託法適用の場面が大きく拡がることとなりました。そして,昨今,世間では,民事信託や家族信託などといった言葉が多く飛び交っています。信託は,比較的柔軟な設計が可能な仕組みであり,例えば,自身の財産について自らの認知能力が低下した後の管理方法を定めておきたいといった場面や,障がいを持った子どもを持つ親として,その子どものために自身の死後の財産の承継や管理の方法を定めておきたいといった場面など,財産の管理や承継に関する様々な場面で自身の意思を生かすことができるものとしてその活用範囲は非常に広いと言われています。 大阪弁護士会では,上記信託法の改正に際し,法制審議会信託法部会から公表された「信託法改正要綱試案」のパブリックコメントに対する意見書を提出し,その後も信託法の研究を進めてきました。そして,2010年度(平成22年度)からは,司法委員会のなかに信託法部会を新設し,研究だけではなく,研修や高齢者・障害者総合支援センター(通称「ひまわり」)と信託法部会が合同でパンフレットを発行することなどを通じて会員の弁護士等に対して信託に関する情報提供を行ってきました。 一般に,信託において当事者は3名以上になりますし,また,信託は比較的長期に亘って存続することも予定されていることから,財産の管理や承継等をめぐる様々な問題の解決にあたっては,信託以外の制度の利用可能性も検討しつつ,必要に応じて,複雑かつ長期に亘る信託のスキームを的確に構築し,かつ,運用することが必要不可欠です。 適切な民事信託の普及を図るとの観点から,この度,大阪弁護士会司法委員会の研究により得た知見やノウハウ等の蓄積を,Q&Aという形式で,民事信託の利用者や弁護士をはじめとする専門家,金融機関関係者など民事信託に関わる皆様にお届けしたいと考えて,本書を発行しました。 本書が,財産の管理や承継等の場面において,後見や遺言などと同様に,はしがき

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