第 1 編第 1 編 本書の目的及び全体的構成について2 相続登記未了地だけか12 相続登記未了地だけか 相続登記未了のために,所有者不明土地が増えているというイメージが広がっているが,いわゆる田舎で登記業務を行っている司法書士である筆本書の目的及び全体的構成について第1節 所有者不明土地になる原因は相続登記未了だけか1 相続登記未了のため,所有者が不明といわれている 現在,所有者不明の土地が多く存在し,社会的問題にもなっている。「所有者不明土地」という言葉に,確立した定義があるわけではないが,国土交通省では「不動産登記簿等の所有者台帳により,所有者が直ちに判明しない,又は判明しても所有者に連絡がつかない土地」と定義している(国土交通省・国土審議会土地政策分科会第1回特別部会(平成29年9月12日)資料3「所有者不明土地に関する課題について」)。 国土交通省をはじめ,様々な機関が所有者不明土地の実態を把握しようと調査しているが,所有者不明の原因としては,一般的に相続登記が行われていないからであるといわれている。 例えば,「持ち主が分からない土地が九州の面積を超えている」とのフレーズで有名になった『人口減少時代の土地問題』(中央公論新社,2017)の著者・吉原祥子氏(東京財団政策研究所研究員)がフォーラム等で説明する際,「『所有者不明』とは,所有者の所在が直ちにわからない状態を指します。……『所有者不明』が生じる制度的な要因は,相続登記です。相続発生時に登記が進まないことで登記簿上の情報と実際にその土地を所有し利用する現状との間にギャップができる。それにより『所有者がよくわからない』状態が生まれています。」(平成29年9月7日開催第110回東京財団フォーラム「『所有者不明土地』問題の構造と政策課題」)と説いている。
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