変則型登記、権利能力なき社団・認可地縁団体等に関する登記手続と法律実務
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第1節 所有者不明土地になる原因は相続登記未了だけか2者にとっては,違和感を持ってしまう。 それは,日頃登記簿を見ると,相続登記が行われていない不動産だけではなく,本来,相続登記を行ってはいけないとされている「権利能力なき社団」所有の不動産をはじめ,「○○外何名」,「共有惣代○○」,「大字○○」など,誰の所有地かよく分からない不動産の登記簿を見かけることが少なくないからである。 そのため,個人所有名義の不動産に関する相続登記未了や多数の個人が共有している共有地における相続登記未了とは違う視点からみると,他の所有者不明土地も浮かんでくる。3 総務省中心の「所有者不明土地問題研究会」では 総務省を中心に司法書士をはじめ様々な専門家が集まっている「所有者不明土地問題研究会」の「中間整理─概要─」(平成29年6月,以下『概要』という。)では,“所有者不明土地とは”説明頁の具体例として,相続未了土地をはじめ四つの例をあげている。 そのなかの一つとして「所有者台帳に,全ての共有者が記載されていない共有地」を挙げているが,このような登記名義の場合,単純に多数の個人所有の共有地ではなく,その地域の入いり会あい団体や自治区の所有物であるといわれることが多い。 また,“所有者土地に係る自治体の声(具体的な支障事例)”の説明頁に掲載されている「買収予定地の登記簿の表題部において,所有者住所の記載がない。また,「所有者代表外4名」としか記載がないものも。」(『概要』7頁参照)等が挙げられている。そのような登記の土地の場合は,通常,個人が所有している土地ではなく,その地域の入会団体や自治区が所有している土地であることも多い。 入会団体,自治区とは何かの説明は,本書の様々な登記を説明する部分で行うが,単純に個人の所有物でなく特殊な団体の所有する物件である可能性が高い。

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