第 1 編 本書の目的及び全体的構成について5 法務省や自由民主党でも「変則型登記」を取り上げだした34 国土交通省では,「変則型登記」も取り上げている 国土交通省では,所有者不明土地に関する資料として『所有者の所在の把握が難しい土地に関する探索・利活用のためのガイドライン』(初版は平成28年3月,第2版は平成29年5月,日本加除出版)を発表している。 この中の「第3章の表3-1:土地の状況」(78頁)に「歴史的な経緯等により名義が特殊な土地」として,「町内会又は部落会を所有権登記名義人等とする登記がされている土地」,「記名共有地」,「共有惣代地」,「字持地」等が記載されている。 これらについてガイドラインでは,純粋に個人所有の土地ではなく,どのような土地であり,どう扱うかを簡易に説明しているが,必ずしも詳細には説明していない。 最近の傾向として,上記の「歴史的経緯等により名義が特殊な土地」のように特殊な登記名義を「変則型登記」という呼び方も出てきており,「所有者不明土地の要因の一つとして,表題部所有者の氏名及び住所が正常に登記されていない変則的な登記」と定義づけられている(「登記制度・土地所有権の在り方等に関する研究会」の「中間取りまとめ」(平成30年6月,一般社団法人金融財政事情研究会ホームページ))。 この研究会は関係官庁として最高裁判所,国土交通省等が協力し,山野目章夫早稲田大学大学院法務研究科教授が座長を務める研究会である。5 法務省や自由民主党でも「変則型登記」を取り上げだした 平成30年になり,所有者不明土地問題について法律を制定する動きになり,法務省や自由民主党などが,「変則型登記」も取り上げるようになった。 例えば,法務省では,平成30年6月1日に発表した「所有者不明土地問題についての法務省の検討状況」の中では,「土地台帳制度下における所有者欄の氏名・住所の変則的な記載が,昭和35年以降の土地台帳と不動産登記簿との一元化作業後も引き継がれたことにより,不動産登記の表題部所有者欄(※)の氏名・住所が正常に記載されていない登記(変則型登記)の土地が存在(※ 表題部所有者とは,所有権の登記がない不動産について,登記記
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