家事裁判から戸籍まで【親子・認知 編】
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6第1章 家事事件手続等の概要3 家事法の構造 家事法は,「総則」「家事審判に関する手続」「家事調停に関する手続」「履行の確保」及び「罰則」の5編から成り,合計293条の条文が置かれています。 第1編「総則」では,管轄,裁判所職員の除斥及び忌避,当事者能力及び手続行為能力,手続代理人及び補佐人,手続費用,家事事件の審理等が規定されています。このうち,33条では,「家事事件の手続は,公開しない。ただし,裁判所は,相当と認める者の傍聴を許すことができる。」と規定し,手続の非公開が定められています。 第2編「家事審判に関する手続」には,家事法の3分の2以上に当たる209の条文が置かれ,家事審判の手続,不服申立て,審判前の保全処分,民法上の審判事件,戸籍法等の特別法上の審判事件等に関する規定が置かれています。そして,審判事項については,別表第1,別表第2において限定列挙されています。その詳細は,「第2 家事審判」において説明します。 第3編「家事調停に関する手続」では,調停事項,調停機関,家事調停の手続,調停の成立,合意に相当する審判,調停に代わる審判等の規定が設けられています。その詳細は「第3 家事調停」において説明します。なお,「合意に相当する審判」及び「調停に代わる審判」は,審判ではありますが,家事調停において説明します。 第4編「履行の確保」では,義務者に対する履行の勧告等を定めています。すなわち,家事審判や家事調停などで定められた金銭支払等の家事債務については,その義務者が履行しない場合は,強制執行の際の債務名義となりますが,強制執行の手続は時間等を要するため,家庭裁判所(家事法289条1項で定める場合は,高等裁判所)は,アフターケアとして,義務者の履行を確保するために積極的に関与すべきことを定めています。履行勧告等の制度であり,家庭裁判所等は,①権利者の申出があるときは,審判又は調停で定められた義務の履行状況を調査し,義務者に対して,その義務の履行を勧告すること規定された事項のすべてにつき,その細則を家事事件手続規則(以下「家事規則」という。)で定めています。

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