家事裁判から戸籍まで【親子・認知 編】
34/62

第2 家事審判1 審判事項 家事審判とすべき事項は,民法や戸籍法等の法律により定められており,8第1章 家事事件手続等の概要これらの調査は,調停の時から行っており,調停成立のための重要な説得手段となるのみならず,合意される調停条項が正当かどうかの客観的判断の根拠ともなっています。調停が成立しない場合には,その調査の結果は,審判において活用されます。イ 医務官 家庭裁判所には,医師の資格を有する医務官も置かれ,関係当事者の心理状態のさらなる調査が必要な場合,精神分析等に基づく意見を述べます。ウ 調停委員 家事紛争については,調停による解決が主流を占めるため,これを担当する調停委員会が置かれています。調停委員会は,裁判官又は家事調停官(弁護士から選任される。)が調停主任となり,あと2人以上の民間人が調停委員として調停に当たります。夫婦関係の調整が問題となるときは,男性と女性の調停委員それぞれ1名ずつと裁判官等の3名からなる調停委員会が調停を実施します。調停委員は,40歳以上の者から裁判所により選任されます。エ 参与員 さらに,参与員も置かれ,審判の前提となる事実を調査して,裁判官に報告します。例えば,名の変更の審判申立てがあれば,事件本人や関係者から事情を聴取したり,資料の提供を求め,当否の意見を添えて,裁判官に報告します。参与員は,調停委員が兼任したり,その任期後に任命されることがあります。戸籍に関する審判については,裁判官の求めにより,法務局OBが参与員として,戸籍に関する詳細な手続や通達・回答等を紹介しています。なお,人事訴訟事件についても,一般人の意見を反映させるための参与員が置かれていますが,これについては,人事訴訟の箇所で説明します。

元のページ  ../index.html#34

このブックを見る