家事裁判から戸籍まで【親子・認知 編】
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5 戸籍の記載の効力51第1 戸籍制度の目的籍を順次にたどり,その記載事項を調査することによって目的を達することが可能となりますが,これは,戸籍には,制度上,上記のような索引的機能があるからにほかなりません。 そして,この検索機能の結果,日本人の身分関係が一つの帳簿に記載されているのと同一の効果があります。また,出生や死亡における届出義務と婚姻等は届出によって身分関係が発生・消滅するとの創設的届出の制度を総合すると,日本人の身分関係は一つの帳簿に必ず記載されるということができます。さらに,このことから,戸籍に記載されている事項の存在の事実のほか,戸籍に記載されていないという事実に基づき,身分行為が存在しない,あるいは継続していること(例,婚姻の記載があるのに離婚の記載がないことは,婚姻関係が継続していること)も証明することができます。⑴ 戸籍の記載の証明力 戸籍は,日本国民の出生から死亡に至るまでの重要な身分に関する事項を記載(記録─以下本項において同じ。)して,これを公証する唯一の公文書であって,その記載は,反証のない限り,記載に相応する身分関係が存在するものとして推定されます(大判明治37・1・23民録10輯29頁,最判昭和28・4・23民集7巻4号396頁)。⑵ 証明力の担保措置 戸籍の記載は,原則として,戸籍法に定める各種の届出に基づいて行われますが(戸15条),その届出に際しては,婚姻,養子縁組等の創設的届出にあっては証人を必要とし(民739条2項・764条・799条・812条,戸33条),また,出生,死亡,裁判認知等の報告的届出にあっては,その事実又は裁判の成立を証する書面(例・出生証明書,死亡診断書又は死体検案書,認知の審判又は判決の謄本ほか)の添付を要求しており(戸49条・86条・90条・63条ほか),さらに虚偽の届出をした者に対しては刑罰を科する(刑157条1項)ことによって戸籍記載の真正を担保することとしています。⑶ 戸籍の記載の是正 戸籍法は,戸籍の記載の正確性を担保するため,上記⑵のとおり,戸籍

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