家事裁判から戸籍まで【親子・認知 編】
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第2 戸籍に関する諸帳簿と保存年限1 戸籍・除籍簿等 戸籍事務の管掌者である市町村長は,戸籍事務を管理・執行する上で必要な各種の帳簿を整備しなければなりませんが,その中でも特に戸籍簿,除籍簿,改製原戸籍簿は,戸籍制度の中核をなすべき最も重要な帳簿といえます。52第2章 戸籍制度の概要の記載の基礎となる届出の正当性を立証する書面の添付を要求するなど種々の措置を講じています。しかし,戸籍の記載が常に真実を反映しているとは限りません。市町村長は,届出の受理に際して,届出事項の真偽を審査する権限(いわゆる実質的審査権)を有しておらず,一般に形式的審査主義によって届出の受理を行っているからです。そこで,戸籍の記載が真実に反する場合には,これを速やかに是正する措置が講じられなければなりません。その是正措置(すなわち,戸籍の記載を真実に合致させ,あるいは不適法な記載を改める。)として認められているのが戸籍訂正の手続(戸24条・113条・114条・116条)であるわけです。なお,戸籍の訂正は,単に戸籍の記載を真実に合致させる手続にすぎないものであり,戸籍の記載を訂正することによって新たな身分関係を発生・変更・消滅させる効果をもつものではないことに注意することが必要です。⑴ 戸籍簿 戸籍は,日本国民の親族的身分関係を登録(記録)し,これを公証する公文書(公正証書)であり,これをつづって帳簿としたのが戸籍簿です(戸7条)。その意味で,戸籍簿は,公正証書のいわば集合体ということができます。 ところで,戸籍の調製に用いる用紙の規格,様式については,その性質上,全国的に統一する必要があるため,法務省令をもって定められています。すなわち,戸籍用紙は,戸籍法施行規則1条の規定により,日本工業規格B列4番若しくは美濃判の丈夫な用紙を用い,同規則附録第1号様式によって調製すべきものとされています。

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