家事裁判から戸籍まで【親子・認知 編】
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53⑵ コンピュータシステムによる戸籍簿 平成6年法律第67号による戸籍法の一部改正(同年12月1日施行)により,電子情報処理組織(以下「コンピュータシステム」といいます。)を用いて戸籍事務を処理する制度が創設されました(戸118条)。 戸籍事務をコンピュータシステムによって処理する場合,戸籍は,磁気ディスクに記録し,これをもって調製するものとされています(戸119条1項)。また,この場合には,磁気ディスクをもって調製された戸籍(一般に「コンピュータ戸籍」と呼んでいます。)を蓄積して戸籍簿とします(同条2項)。⑶ 除籍簿 ある戸籍に在籍する者について,婚姻,縁組等の届出によって新戸籍が編製され,又は他の戸籍に入籍したとき(戸16条~21条)は,従前の戸籍から除籍されます(戸23条前段)。このことは,その者が死亡し,失踪宣告を受け,又は日本国籍を喪失したときも同様です(同条後段)。このようにして,一戸籍内の全員が除かれ,在籍する者がいなくなったときは,その戸籍は戸籍簿から除籍簿につづり替えて保存されることになります(戸12条)が,この除かれた戸籍も,身分関係を公証する上で欠くことのできない公正証書です。死亡者の生前の身分関係や相続人を知る必要が生じた場合には,除かれた戸籍に遡ってこれを参照することによりその目的を達することが可能となります。このようなことから,除かれた戸籍も重要な役割をもっているということができます(なお,前記第1の4参照)。⑷ 戸籍の改製と原戸籍簿ア 改製の趣旨 戸籍の改製は,一般に戸籍法の改正に伴って戸籍の様式が改められた場合に,旧法の規定による様式をもって編製されていた戸籍を新法の規定による様式の戸籍用紙をもって書き替えることをいい,改製前の元の戸籍を「改製原戸籍」といいます。 戸籍の改製には,戸籍法の変遷とともにこれまでに,①明治5年式戸籍(明治4年太政官布告第170号戸籍法三三則(明治5・2・1施行)による編製戸籍)について明治19年式戸籍への改製,②明治19年式戸籍(明治19・10・16内務省訓令第22号戸籍取扱手続による編製戸籍)について明治31年式戸籍へ第2 戸籍に関する諸帳簿と保存年限

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