家事裁判から戸籍まで【親子・認知 編】
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2 不受理申出の有無の確認86第3章 現行戸籍手続上の予備知識の長は,当該届出に係る関係者の事情聴取を行うなどして,当該届書が真正に作成されたものであるか否かについて十分調査を行った上,受理又は不受理の指示を行うことになります(前掲通達第5の1⑵・⑶)。⑷ 本人であることが確認できない場合 市町村長は,縁組等の届出事件の本人確認ができない者がある場合(窓口に出頭しない場合,窓口に出頭したが本人確認ができない場合)において,当該届出を受理したときは,その者に対し,戸籍の附票又は住民票に記載された現住所に転送を要しない郵便等により,書面で通知することとされています(戸27条の2第2項,戸規53条の3)。この通知によって,当該受理された届書が仮に偽造のものであるときは,通知を受けた当事者は,速やかに戸籍訂正の手続等を行うことが可能となります。 なお,上記の場合において,当該偽造に係る届出に基づく戸籍の記載が未了であるときは,市町村長は,その処理について管轄法務局の長に照会し,管轄法務局においては,届出の真偽について関係者から事情聴取を行うなど慎重に調査を行い,その結果,当該届出が虚偽のものであることの確証を得たときは,市町村長に対し,受理処分を撤回するよう指示することになります(受理処分の撤回と方法について,大正13・8・29民10513号回答,昭和37・12・5民事甲3519号回答,木村三男・神崎輝明「全訂 戸籍届書の審査と受理」30頁)。⑴ 不受理申出の制度 不受理申出の制度は,当事者に婚姻,協議離婚等の身分行為をする意思を欠く無効な届出を防止するため,従来,戸籍先例によって運用されていました(昭和27・7・9民事甲1012号回答,昭和51・1・23民事二900号通達)が,平成19年法律第35号による戸籍法の一部改正(平成20・5・1施行)によって同法に27条の2の規定が設けられ,法制化されるに至ったものです。法制化された制度の下では,創設的届出のうち,届出によって効力を生ずべき認知,縁組,離縁,婚姻又は離婚の届出(以下「縁組等の届出」という。)について,自らを届出事件の本人とする届出がされた場合であっても,自

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