家事裁判から戸籍まで【親子・認知 編】
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104第1章 親子関係事件2 出生届が済んでいる場合の事案 夫婦が婚姻中の場合は,子は出生届に基づき,夫婦の戸籍に入籍します(民790条1項,戸18条1項)。夫婦が離婚した場合であっても,子が離婚後300日以内に出生したときは,子は,原則として,出生届に基づき夫婦の婚姻当時の戸籍に入籍します(前同)。そのいずれの場合も嫡出否認の裁判をすることができ,下記の「家事調停」では子が婚姻中に出生した場合,「人事訴訟」では子が離婚後に出生した場合の事例を示します。離婚後の場合は,「申立ての理由」又は「請求原因」において離婚の事実を提示しておくのが相当です。なお,婚姻中か離婚後かによって戸籍訂正の方法が異なります。変更をするに止まります。 外国人同士の嫡出否認としては,同国人同士の婚姻において出生した子の場合と甲国人と乙国人夫婦において出生した子の場合とがあります。前者の場合は,州によって法律を異にする等の場合でない限り,準拠法は当該国の法となり,単一ですが,後者の場合は,配偶者それぞれの本国法が準拠法となり,両方の法に嫡出否認をすることができることを要します。なお,外国人同士の嫡出否認の場合は,その裁判の結果を戸籍に反映することはありませんが,後に説明するとおり,子の出生届が提出された市区町村長に裁判の謄本が提出された場合,当該出生届にリンクして裁判の謄本を保存します。 以下において,事案ごとの記載例を示します。⑴ 子が婚姻中に出生した場合① 嫡出否認の裁判 調停前置のため,まず,調停を申し立てます。調停不調の場合は,嫡出否認の訴えを提起する必要がありますが,この場合の書式は後記⑵の①を参照願います。 調停申立書の記載例は次のとおりです。

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