11)石川稔『子ども法の課題と展開』ⅱ頁(有斐閣,2000年)。2)中川良延「親権と子どもの教育を受ける権利」北大法学論集14巻3・4合併号428頁(1964年),フランス法との比較研究として,田中通裕『親権法の歴史と課題』(信山社,1993年),イギリス法との比較研究として,川田昇『イギリス親権法史―救貧法政策の展開を軸にして』(一粒社,1997年),イタリア法との比較研究として,椎名規子「イタリア憲法の家族条項および国家と家族の関係についての家族法的考察(1)(2)(3・完)―ファシズム下における国家による家族への介入の歴史とともに―」専修法学論集95号75頁(2005年),96号145頁(2006年),98号215頁(2006年),ドイツ法との比較研究として,横田光平『子ども法の基本構造』(信山社,2010年)。また,親権を国家や社会との関係でとらえる視点を示すものとして,大村敦志『家族法[第3版]』(以下,大村「家族法」という)115頁以下(有斐閣,2010年),窪田充見「親権」大村敦志ほか編著『比較家族法研究―離婚・親子・親権を中心に―』46頁(商事法務,2012年),久保野恵美子「親権⑴―「総則」「親権の喪失」を中心に」同書238頁,西希代子「親権⑵―親権の効力」同書318頁。親権とは,子どもに対する親の権利義務である。そこで,親権はその対象となる子どもとの関係で考えていく必要がある。石川稔教授は,そのためには,子どもの権利と親の権利との調和をはかることのみならず,国の干与の基準も問題になるとし,「子ども,親および国の三者の関係をどのように調和させるか,その均衡をどのあたりに求めるべきかは今日の親子法の課題,1)」としている。そして,それぞれ比較法の観点かいな子ども法の課題であるら親権法を研究している研究者も,子・親・国家という三者の権利・義務関係を,公法・私法の枠を超えて,トータルに把握することが重要であると示2)。筆者も,これらの先人の後に続いて研究唆し,研究書としてまとめているを進めていきたいと考えてきた。本書は,アメリカ法と日本法を比較して親権法を研究する。そのアメリカ法と日本法の親権に関する豊富な先行研究によりみえてきたことは,親権以外にも,親の権利義務があるということ,そして親の権利義務は,民法だけで把握しうるものではないということである。本書はこのような考察枠組みから,次のような構成を採っている。第I部において,アメリカ法における親の権利と監護権について考察を行う。アメリカ合衆国(以下,全編を通してアメリカという)において,親権に当たる用語には,親の権利(parental rights)と監護権(custody)がある。アメリカの家族法は各州が独自に制定しているが,いずれの州法も合衆国憲法に違反してはならない。そこで親は,州法の定める規定が,憲法上の親の権利を侵害していないかを争うことにより,国家に対して権利を主張してき序 文
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