財産分与・養育費・婚姻費用に関する証拠収集 3イ 税 金 収入について最も有用な資料は,源泉徴収票や確定申告書(控え)などの税金(納税)に関する公的な資料です。実際に養育費・婚姻費用の算定のケースの多くで当事者が任意に開示しています。 任意に開示されない場合には,税務署に対して照会するという方法が考えられますが,実際に弁護士会照会をしても,拒否されますし,裁判所の調査嘱託に対しても,公務員の守秘義務を根拠にして開示に応じないのが通常のようです(民事証拠収集実務研究会編『民事証拠収集-相談から執行まで』(勁草書房,2019年)28頁)。ウ 各収入の支出者 相手方の(元)勤務先に対して,給与支給額(給与明細)や退職金の支払明細の開示を求める方法もあります。 例えば,相手方が医師である場合には,その収入のうち一部(大部分であることが多い)は社会保険から受領する診療報酬です。そこで,都道府県の国民健康保険団体連合会,都道府県の社会保険診療報酬支払基金事務所に対して,診療報酬の支払実績の開示を求める方法もあります。 また,相手方が音楽に関する著作活動をして収入を得ている場合には,一般社団法人日本音楽著作権協会に対して,著作権使用料の支払実績の開示を求める方法もあります。 いずれも,照会先が開示に応じることもありますが,開示するかどうかが一律に決まっているわけではありません。
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