資産離
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1 夫または妻名義の個人事業の資産の扱い  51夫または妻名義の個人事業の資産の扱い⑴ 典型的な分与対象財産(前提) 清算的財産分与の対象財産は,実質的に夫婦の協力によって得た財産です(民法768条3項参照)。これを夫婦共有財産と呼んでいます。簡単にいうと,婚姻から破綻の時点までの間に夫と妻が得た収入ということになります。 分与対象財産(夫婦共有財産)の典型的なものは,預貯金その他の金融資産や不動産です。これらの財産であれば,金銭に評価することや分与することは比較的容易です。⑵ 事業の扱いの問題点 しかし,夫や妻の就労や任務への従事の結果が事業となっているケースでは,分与対象財産として捉えるべきかどうか,分与対象財産として扱う場合には,金銭的評価の方法,分与する方法が問題となります。⑶ 個人事業の扱いア 基本(事業用資産を分与対象とする) 最初に,事業を夫または妻の個人として行っている,つまり個人事業(主)であるケースについて説明します。 基本的には,個々の事業用資産を分与対象財産として扱います。つまり,事業用であってもなくても,夫・妻に帰属する財産(のうち夫婦の協力によって得たもの)は分与対象財産になるということです。これは,名実ともに個人での事業といえるような小規模なものを前提としています。第2財産分与

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