資産離
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6  第2 財産分与 ➡ケース2,ケース3イ 例外的な評価(収益性の評価) 大規模な設備や多くの従業員がいるような大規模な事業である場合には,個々の資産だけではなく収益性により事業の価値を評価する方法をとる傾向があります。➡参考裁判例1(松山地西条支判昭和50年6月30日) しかし実際には事業の規模が大きくなった場合,株式会社その他の法人を設立し,その法人が事業を引き継いで遂行する(法人成りする)ことが多いです。そのため,個人事業主で規模が大きいというケースは少ないです。ウ 特殊な分与の方法(事業譲渡) 個人事業については,従前の事業主(夫または妻)が事業を継続することをもって分与を受けたものとするのが通常です。つまり,他の分与対象財産については,事業主以外の配偶者の方が多くの分与を受けることになります。 ただし,事業そのものを夫と妻に振り分けるケースもあります。具体的には顧客を振り分けるという方法です。法的には事業譲渡にあたるといえるでしょう。➡ケース1,参考裁判例2(東京高判昭和54年9月25日)◎関連するケース・裁判例 ▶ケース1 財産分与として夫と妻の個人名義の事業の顧客を分けた▶ケース2 夫独自の個人事業に用いていた不動産を分与対象財産に含めた▶ケース3 夫独自の個人事業の財産を債務も含めて分与対象財産とした▶参考裁判例1 松山地西条支判昭和50年6月30日判時808号93頁▶参考裁判例2 東京高判昭和54年9月25日東高民時報30巻9号225頁・判時944号55頁

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