資産離
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1 夫または妻名義の個人事業の資産の扱い  7財産分与として夫と妻の個人名義の事業の顧客を分けた事案の概要CASE1 男性(夫)と女性(妻)は婚姻し,2人の子をもうけました。 夫婦で機械の販売業を営んでいました。法人化はせず,基本的に夫の名義で取引を行っていました。実情は,夫婦それぞれが営業活動をし,得意先を持っていました。 業績は良好で,年間収益として2500~3000万円を維持していました。 婚姻後約25年の時点において,自宅以外の不動産や預貯金として2億5000万円相当の財産がありました。財産は基本的に夫の名義となっていましたが,婚姻後の事業収入により形成したものでした。 その後,夫婦の仲が悪くなり,離婚に向けた協議が進みました。 不動産や預貯金については,実質的に折半にすることについては夫婦で同意できましたが,今後の事業をどのようにするかについて意見が対立しました。≪争点(見解の違い)≫夫:夫名義での取引(事業)については財産分与には関係しないので,離婚後には取引に妻は関与しない。妻:夫名義での取引の実質としては妻自身による取引も含まれる。財産分与として,離婚後にも,妻が一定の顧客との取引を継続する。結論 裁判外の和解成立 離婚する。 夫名義での取引(顧客)のうち約4割を妻(が設立した会社)が承継して取引を継続する。 実質的な事業譲渡として妻が夫に3000万円を支払う(財産分与の中で調整する)。合意成立のポイント1 事業の承継者 大きな方向性として,妻が主に担当していた顧客について,新たに妻が設立した会社で引き取ることについて,両当事者は同意しました。

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