資産離
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84  第4 婚姻費用・養育費合意成立のポイント1 特有財産からの賃料収入の扱い 収益不動産が夫の特有財産であることについては,夫・妻の意見は一致していました。 収益物件の管理を夫は行っていませんでしたが,収益(賃料収入)の一部は夫婦の家計にあてていました。つまり,不動産の収益と家計とはある程度関連しているといえました。 そこで,養育費の算定において賃料収入のうち3分の1を夫の収入として扱うこととなりました。2 養育費の計算式 具体的な計算内容は次のとおりです。 事業所得400万円(1200万円の3分の1)→給与所得に換算する→568万円 (平成27年時点の統計データを用いた) 給与所得の合算:給与600万円+不動産568万円=1168万円 給与所得1168万円×基礎収入割合38%≒444万円 (平成27年の統計データのうち上限の年収の割合を用いた) 444万円×(55+90)/(55+90+100)≒263万円 263万円/12≒22万円3 算定表上限適用の主張の撤回 養育費については,(義務者の総収入が上限収入を超えても)標準算定表の上限を適用するという傾向もあります。しかし,本ケースでは,仮に妻が離婚に応じないと,夫は当面,婚姻費用(養育費よりも高い)の支払を継続する立場にありました。そこで,夫側は譲歩し,「標準算定表の上限の適用」の主張を撤回(譲歩)したのです。

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