資産離
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3 特有財産からの収入(賃料収入・金融資産の取引の利益)の扱い  85給与等3100万円とは別の株取引利益600万円は3分の1だけを総収入に含めた(婚姻費用)事案の概要CASE25 男性(夫)と女性(妻)は婚姻しました。 夫は,Webサービスを販売する会社を設立し,会社は急成長しました。また,セミナーの講師を引き受けることもたまにありました。 夫は,(会社とは関係なく個人的に)婚姻前の預貯金により株式や債権などの金融資産を購入し,保有するようになりました。 一方,妻は婚姻当時,モデルとして就業していました。 婚姻後,夫は不貞を行い,妻に対して暴力をふるうようになりました。 妻は心身のショックからまともに就業することができず,収入はゼロに近くなりました。 妻が家を出て夫婦は別居するに至りました。妻が夫に婚姻費用を請求したところ,金額について意見が対立しました。 直近年度について,夫が会社から支給されている役員報酬は2300万円,講演料としての収入は200万円でした。金融資産の取引による利益(キャピタルゲイン)が600万円でした。≪争点(見解の違い)≫夫:講演料については年度によるばらつきがあるので臨時のものとして婚姻費用の計算で用いるべきではない。  金融資産は婚姻前の預貯金(特有財産)で購入したものであり,また,キャピタルゲインは,たまたま数年ぶりに銘柄の入れ替えを行ったものであり,取引前後での金融資産の評価額に変動はないので,収入としての経済力を示すものではない。そのため婚姻費用の計算で用いるべきではない。  役員報酬だけを基にして,標準算定表の上限を婚姻費用とするべきである。  婚姻費用は月額28万円となる。妻:夫の収入のいずれについても(収入としての)経済力が反映されている。いずれも収入として集計し,標準算定方式により婚姻費用を計算すべきである。   事業所得(雑所得含む)800万円→給与所得に換算→1085万円   (平成14年までの統計データを用いた)

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