86 第4 婚姻費用・養育費結論 裁判外の和解成立 婚姻費用の計算上,講演料は含めるが金融資産取引による利益のうち3分の1を含める。 講演料の収入を給与所得に換算してから役員報酬と合算する。 基礎収入割合修正方式を用い基礎収入割合を1%下げる。 婚姻費用の月額は40万円とする。合意成立のポイント1 総収入の認定 本ケースにおいて,夫の総収入や基礎収入をどのように計算するかが問題となりました。 講演料の収入は,年度によって違いはありましたが,講演料は毎年生じていました。そこで,直近年度の実績(金額)をそのまま用いることになりました。 金融資産の取引による利益(キャピタルゲイン)がありましたが,保有株式のうち一部の銘柄を売却して,その1週間以内に売却代金とほぼ同額だけ,別の銘柄を購入していました。このときに売却した銘柄は,約3年前に購入した時より大きく値上がりしていたので,税務上売却益(キャピタルゲイン)が出たことになっていたのです。実質的には株式の保有を続けていて,含み益を持っている状態と似ていました。ただし,実際に現金(預り金としてのMRF)に変わっていたため,支払能力という意味で経済力があるといえる状態でした。 そこで,キャピタルゲインのうち3分の1,つまり600万円のうちの200万円のみを婚姻費用の計算で用いることになりました。 計算としては,まず,所得を「給与所得」に統一して合算することにし 給与所得としての合算:2300万円+1085万円=3385万円 給与所得(総額)3385万円×基礎収入割合34%≒1151万円 基礎収入1151万円×100/(100+100)≒576万円 576万円/12=48万円
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