資産離
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はしがき  iはしがき 社会において夫婦や婚姻外の男女のトラブルはとてもありふれています。法律的には離婚,財産分与,養育費や婚姻費用として解決することになります。当然,これらの法律的な理論や解決のためのノウハウについて説明する書籍は数多くあり,離婚や男女問題に取り組む弁護士の多くが一般的な知識を習得しています。 しかし,一般的な知識では対応できない問題もいくつかあり,その1つが「当事者の1人の収入や資産が大きい」場合の法的扱いです。 まず,離婚に伴う財産分与では,通常であれば「ふたりの財産を合わせて折半する」という大原則を比較的スムーズに適用できますが,一方の収入や資産が大きい場合は,分与対象財産をどのようにカウントするか,また,分与割合として50%は妥当なのか,という問題がでてくる傾向が強いです。 また,婚姻費用・養育費については,通常であれば標準算定表を当てはめた上で,特殊事情で微調整するというプロセスで足りることが多いですが,当事者の一方が算定表の上限年収を超える場合には,そもそも算定表に当てはめること自体ができません。当然,個別的に計算することになりますが,画一的な計算方法はありません。 日々,いろいろな文献・論文を目にしていますが,このような「多額の収入や資産を持つ者」にテーマを絞ったものはほとんど見当たりません。そこで多額の資産をめぐる財産分与と高額の収入に関する婚姻費用・養育費をテーマとして,実務に携わる弁護士や司法書士の方が使いやすい書籍としてまとめようと考えました。多額の資産や高額の収入に関する問題は,前述のように個別的事情が反映される傾向が強いです。そこで,具体的ケースの紹介を中心としつつ,婚姻費用・養育費については(改定)標準算定表の上の部分(義務者の収入が上限を超える部分)を表として作ることにしました。なお,一般の方(当事者ご自身)が読んでも分かるように,専門用語には説明を加えるなどの工夫もしました。

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