資産離
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2 婚姻費用の高額算定表  191ウ 実務における高額算定表のニーズ 実務において,紛争の初期段階(初回の法律相談を受けた弁護士の立場)において,即座に婚姻費用・養育費の金額のおおよその目安を知りたいという状況はよくあります。つまり,標準算定表の上限を超えた部分(上に続く部分)が欲しいというニーズがありました。この点,前述のように,直近の改定標準算定方式・算定表(の解説)でも特に解釈や考え方は示されないままとなっています。 そこで本書では,可能な限り標準的な状況を想定しつつ,一般的な見解(解釈)を基にして算定表(以下「高額算定表」といいます)としてまとめることを試みました。エ 用いる際の注意・目安としての用途 このたび作成した高額算定表は,(改定)標準算定表と同様に,二次元の表という形式をとる以上,反映できる事情は非常に限定されています。具体的には義務者・権利者の総収入と子の人数・年齢という要素のみとなります。それ以外の個別的な事情を反映させることはできません。そこで,算定表としては,あくまでも目安として用いるものであり,機械的に算定表から読み取った金額が婚姻費用の金額として妥当であるというわけではありません。また,養育費については,算定表の上限の金額にとどめる見解が一般的です。その意味で,養育費の高額算定表を用いるのは,例外的な事情がある場合ということになります(後述)。この点も留意されますようお願いします。2婚姻費用の高額算定表⑴ 権利者(上限以内)の基礎収入 高額算定表で想定している権利者の収入は,標準算定表の範囲内です。権利者の基礎収入は,(給与所得者の)総収入に基礎収入割合を乗ずることで計算しました。基礎収入割合としては,改定標準算定方式・算定表の解説に示されている割合を用いました(実証的研究35頁)。

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