弁承継
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第2章 論各 用するか否かを判断する際には,それらを十分に比較衡量する必要がある。(1)メリットまず,株式の贈与税・相続税の納税猶予により,事業承継の際に発生する贈与税・相続税の負担が大幅に軽減されるというメリットがある。また,非上場株式は,相続後に第三者に売却して換金するということが難しく,相続税が課されると納税資金の準備ができない場合があるが,相続税の納税猶予を受けることで納税資金の心配をしなくてよいというメリットもある。(2)デメリット事業承継税制における納税猶予は,あくまで「猶予」であり,「免除」ではない。猶予期間中に,後述する納税猶予のための要件を満たさなくなると,その時点で猶予期限が確定してしまい,それまで猶予されていた贈与税・相続税及びそれに付随する利子税を支払わなければならなくなるというデメリットがある。後継者としては,納税猶予の要件を満たし続けることで最終的には猶予税額の免除は受けられるものの,さらに次世代の後継者を確保できるとは限らず,株式を第三者に譲渡せざるを得なくなった場合や廃業せざるを得なくなった場合には,その時点で猶予されていた税額を納付するとともに,利子税を支払う必要が生じることになる。納税猶予のための要件は,関係租税法令によって細かく定められているが,その概要は,以下のとおりである。実際に事業承継税制の適用を考える場合には,これらの要件を充足するよう,弁護士・税理士等の専門家を交えて検討すべきである。(1)一般措置の場合◦中小企業経営円滑化法に定める中小企業者であること◦非上場会社であること◦性風俗営業会社でないこと設例1 事業承継税制  33ア 贈与した時点・相続が開始した時点① 承継会社の要件3 納税猶予の要件の概要

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