弁承継
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(2)特例措置の場合事業承継税制は,事業承継に伴う贈与税・相続税を猶予し,一定の事由に該当する場合は納税が免除される制度なので,事業承継における納税負担を大幅に軽減する制度です。しかし,贈与や相続の対象となる株式の価値が一定程度を超える場合(例えば,相続税評価額×発行済株式が1億円を超えるような場合)では,事業承継税制の利用によるメリットが生じやすいのですが,株式の価値がそれほど高くない場合は,事業承継税制の利用を慎重に判断する必要があります。なぜなら,生前贈与に係る贈与税を払っても,それほどの税負担が生じない場合もあり,そのようなケースでは,わざわざ猶予取消しのリスクを冒してまで,事業承継税制を利用する必要はないからです。事業承継税制を利用するか否かを判断する際には,まず専門家による株式の相続税評価額算定を行い,納税猶予の要件を満たさなくなるリスクを十分に考慮する必要があります。36  第1 親族内承継◦先代経営者の死亡(贈与税納税猶予が免除され,相続又は遺贈により所得し◦贈与税納税猶予の適用(相続税納税猶予を利用し,経営承継期間が経過後◦経営承継期間経過後の特別清算◦特例経営承継期間経過後の株式譲渡等(経営環境の変化を示す一定要件たものとされる)の場合)を満たす場合,一定額が免除される。)◦上記以外は,⑴の一般措置と同様租税弁護士の視点

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