弁承継
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第3章インタビュー 松井:現在,245万人もの中小企業の経営者が2025年までに70歳以上になる時期を迎えており,経営者の高齢化が進んでいます。うち約半数の127万人が後継者未定であり,このまま放置すれば後継者不在の中小企業は廃業を余儀なくされ,企業数も大幅に減少してしまうという危機的な状況であり,あと5年くらいが勝負であると受け止めています。事業承継には大きく親族内承継と第三者承継がありますが,親族内承継は,とにかく早めに計画を立てていただき,後継者にバトンタッチをしていただくための準備を進めることが重要です。より深刻なのは後継者不在の中小企業で,この場合は第三者承継が選択肢となります。第三者承継も10年前に比べ大分進んでいる印象ですが,まだまだ十分とはいえず,さらなる推進が必要です。木村(道):最近,御庁において,第三者承継を支援するための施策が策定されたとお聞きしましたが。松井:はい。2019年12月に「第三者承継支援総合パッケージ」を策定しまして,第三者承継を進めてしたいと思います。木村(道):第三者承継に関しては,税制改正要望でも,株式譲渡や事業譲渡を通じた親族以外の第三者への事業承継を促進するための税制措置の創設という項目もありました。このパッケージをベースにして,税制も含めて,今後の事業承継支援制度の創設を目指していくということでしょうか。松井:2019年の第三者承継促進に向けた税制改正要望は残念ながら実現には至らず,引き続き検討課題になっており,当庁としても早期の実現に向けて努力したいと思います。ただ,第三者承継については,親族内承継における相続税,贈与税といった税制と同じボトルネックがあるわけではありませんので,税制に限らず,他の施策もいくための様々な施策を一つのパッケージとして取りまとめ,当庁として推進することとしております。第三者承継は中小企業のM&Aですので,弁護士や税理士の先生方にも大きく関わるものです。2015年に「事業引継ぎガイドライン」を策定しておりますが,今回,これを改訂して,中小M&A市場の活性化につなげていきたいと思います。中小企業庁に聞く事業承継の現状と課題  195

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