このたび,木村浩之弁護士と木村道哉弁護士の共著によって,事業承継に関する本が出版される運びとなりました。中小企業経営者の高齢化が進む中,後継者に事業をスムーズに承継していくことはわが国の最重要課題の一つで「事業承継待ったなし」の状況にあります。その課題について,税務に詳しい弁護士が二人集まって著した本は,きわめて専門性に富み,かつ分かりやすい内容になっています。加えて本書では,中小企業庁で事業承継に関する各種施策を推し進めている松井拓郎・事業環境部財務課長,荒川勝彦・同課長補佐へのインタビュー記録が収録されています。事業承継には,金融機関,M&A仲介業者,税理士,弁護士,その他多くの専門家の支援が必要であり,そうした専門家の連携を促す上で,政府の役割も重要です。中小企業庁事業環境部財務課は,政府において事業承継に関する施策を推進する司令塔であり,課長及び補佐の生の声を収録したインタビュー記録は,極めて興味深いものです。著者の木村浩之弁護士は,私の主宰するジャパン・タックス・インスティチュートの国際課税委員会のメンバーであり,委員会では,いつも啓発的な意見を述べられています。国税庁において5年ほど勤務をした経験もあり,かつて大蔵省・財務省に長く務めた私にとって,その面でも身近な存在です。他方,木村道哉弁護士は,私の中央大学法科大学院における最優秀な教え子の一人です。税理士法人山田&パートナーズで資産税の実務を十分に経験した後,現在は,私が顧問を務める棚瀬法律事務所でパートナー弁護士として活躍しています。事業承継に悩みを有する企業経営者の方々はもちろんのこと,事業承継に関わる多くの専門家の皆様,また,法律・税務問題のるつぼである事業承継に関心を持つ,法科大学院をはじめとする専門職大学院の学生の皆さんにも,本書を広く推薦したいと思います。東京財団政策研究所研究主幹中央大学法科大学院特任教授ジャパン・タックス・インスティチュート 代表理事・所長森信 茂樹推薦の辞 i推薦の辞
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