弁承継
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事業承継に関する書籍は,数多,世にあります。しかし,それらは,税理士または弁護士が単独で執筆し,あるいは,税理士と弁護士が,各々,税務と法務を分担して共同執筆したものが多いようです。法務と税務の双方に通じ,法律家の視点から税の問題を取り扱う弁護士は,「タックス・ロイヤー」と呼ばれていますが,タックス・ロイヤーは,日本では,希少であるのが実情です。その中で,本書の最大の特長は,二人のタックス・ロイヤーが集まって著したという点にあります。木村浩之弁護士は,弁護士となる前に,国税庁において数年の勤務を経ているのみならず,国際租税法の分野で令名の高いライデン大学(オランダ)での留学経験と,オランダの法律事務所及びKPMGシンガポール事務所で国際税務の実務に携わった経歴を有しています。また,木村道哉弁護士は,中央大学法科大学院で,森信茂樹先生(元財務省財務総合政策研究所長)の下,財政・課税当局の大所高所の観点から租税を学んだ後,相続・事業承継の分野で著名な,税理士法人山田&パートナーズ及びそのグループに属する弁護士法人で研鑽を積んでいます。いずれも,大変ユニークな経歴と言えましょう。事業承継を成功させるためには,法務面では,近時大改正がなされた相続法はもちろん,M&A・組織再編に関わる会社法の知見も重要です。これに対応して,税務面でも,相続税・贈与税に加えて,組織再編税制をはじめとする法人税の知識も求められるようになりました。事業承継において,「法務と税務のコラボレーション」が今ほど求められる時代もありません。そのようなタイミングで,法務と税務を一手に掌握した専門家が,しかも,二人も集まったのですから,鬼に金棒と言えるでしょう。本書が,事業承継に携わる多くの方に読まれることを願っています。岩田合同法律事務所弁護士東京大学法科大学院客員教授佐藤 修二監修のことば  iii監修のことば

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