判解雇
20/54

第1章1 解雇総論 雇用契約は,労働者による労務の提供と,それに対する使用者からの賃金の支払を主要な内容とする契約であり,解雇は,使用者の一方的な意思表示による労働契約の解約を指す。 民法627条1項は,「当事者が雇用の期間を定めなかったときは,各当事者は,いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において,雇用は,解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。」と規定しており,期間の定めのない雇用契約については,各当事者の意思により,自由に解約ができるとの原則を定めている。 しかし,解雇については,労働者とその家族の生活に重大な影響を及ぼすことを考慮して,判例上厳格な解釈がとられ,最終的に,「客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない」場合には,解雇は無効になるという判例法理が確立した(日本食塩製造事件・最判昭和50年4月25日民集29巻4号456頁)。 同法理は,後に労働基準法18条の2として法律に取り込まれ,平成19年の労働契約法の改正により,労働契約法16条として規定され,現在に至るまで解雇の有効性を判断する基本的な法理とされている。 民事訴訟では,自らの請求が法律上の要件を満たすことを,原則として原告が主張立証する責任を負い,これが主張立証できなかった場合は,被告の2〔解雇〕 第1章 労働者の労務提供の不能,労働能力又は適格性の欠如・喪失 ⑴ 解雇の意義⑵ 解雇における主張立証責任労働者の労務提供の不能, 労働能力又は適格性の欠如・喪失

元のページ  ../index.html#20

このブックを見る