判解雇
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事案の概要18東京高判平成28年11月30日労判1189号148頁東京地判平成28年6月15日労判1189号156頁休職期間満了による退職が,解雇と同視され労働基準法19条1項により無効と判断されるか否かの判断において,休職の原因である傷病(労働基準監督署長により労災認定がなされていた。)の業務起因性の判断が1審と2審で分かれた事例 X(昭和49年生の男性)は,平成13年10月に業務用スパイスの製造販売等を目的とするY社と期限の定めのない雇用契約を締結し,Y社の工場に勤務していたが,腰痛の悪化を理由に平成23年1月21日から1年間休職し,平成24年1月20日,就業規則に基づき,私傷病による休職期間の満了を理由に自然退職したものとされた。その後,Xは,平成24年10月31日,労働基準監督署長に対し,平成20年7月25日の工場作業中に腰痛を発症したとして,労働者災害補償保険法に基づく休業補償給付の請求をし,同署長はこれを労災と認めて支給決定をした。 本件は,Xが,Y社に対し,①休職の原因である腰痛は,平成20年7月25日,同年10月2日,同年12月5日の3回にわたり,Y社の業務であるスパイス原料を投入するために最大250㎏ものコンテナ容器を傾ける作業(本件作業)によるものであったから,Y社による解雇は,業務上の負傷等による療養のために休業する期間中の解雇に当たり,労働基準法19条1項に違反して無効であると主張して,XとY社との間において,Xが雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求め,②Xの上記腰痛の発症,悪化は,Y社において腰痛予防のために必要な措置を講じなかったというY社の安全配慮義務違反又は過失によるものであると主張して,債務不履行(民法415条)又は不法行為(同法709条,715条1項)による損害賠償請求権に基づく損害賠償として賃金や賞与相当額の支払等を求めた事案である。〔解雇〕 第1章 労働者の労務提供の不能,労働能力又は適格性の欠如・喪失 3 ケー・アイ・エスほか事件

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