判解雇
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143しない雇止め可能①若しくは②に該当するかする合理的理由及び社会的相当性ある雇止め可能ない雇止め不可能2 過去の判例 雇止めの有効性についてのリーディングケースとなった東芝柳町工場事件(最判昭和49年7月22日労判206号27頁)は,雇用期間を2か月とした雇用契約を反復更新していた臨時工を雇止めした事案である。この事案で最高裁は,採用基準や給与体系,労働時間等は期間の定めのない本工と差異があるものの,仕事の内容や種類が本工と同じであり,雇止めされた前例がないこと,採用時に使用者が長期の雇用継続を期待させるような言動を行ったこと,契約が5回ないし23回更新されていること,更新手続が厳格に行われていなかったこと等を理由に,短期の雇用契約が反復更新された結果期間の定めのない雇用契約と実質的に異ならない状態となっているもので,雇止めの意思表示は実質解雇の意思表示であるとして,解雇権濫用法理を類推適用して判断するべきであると判示している。これが,労働契約法19条の上記①の元になっている判例である。 その後,期間の定めのない雇用契約と実質的に異ならない状態とまではいえなくても,雇用継続に対する労働者の合理的期待がある場合には,同じく解雇権濫用法理を類推適用すべきであるという判例が現れた。これが日立メディコ事件(最判昭和61年12月4日労判486号6頁)である。この事案は,東芝柳町工場事件と同じく雇用期間2か月の雇用契約を反復更新していた事案であるが,更新手続は本人の意思を確認するなど厳格に行っており,雇用調整目的で簡易な採用方法で採用されていたこと,雇止めの前例があったこと,作業内容も簡易なものであったこと等から,期間の定めのない雇用契約と実〔雇止め〕

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