判解雇
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事案の概要事実認定と評価に対する争点事実認定・評価のポイント154札幌高判平成26年3月13日労判1093号5頁札幌地判平成25年7月30日労判1082号24頁契約更新が8回,4年間継続して雇用されてきた時給制の契約社員に対する,経営改善策の一環として会社が求めた勤務時間の短縮に応じなかったことを理由とする雇止めについて,1審と2審で有効性の判断が分かれた事例 Y社は経営改善策の一環として人件費の削減を行うこととし,Xの所属する苫小牧支店においては,週110時間分の人件費の削減を実施することとした。まずは希望退職の募集を行ったが,申出がなかったことから,期間雇用社員のうち,時給制契約社員に対して勤務日数,勤務時間の短縮に関する意向調査を行い,勤務時間の短縮に応じた者は雇用を継続することとし,応じなかった者の中から3名を雇止めすることとした。Xは,時給制の契約社員として,契約更新が8回なされ,4年間継続してY社に雇用されてきたが,勤務時間の短縮に応じなかったため,雇止めが行われたところ,Xは従業員としての地位確認等を求めて提訴した。 経営上の必要性に基づく雇止めの場合に有効性の判断要素となる①人員削減の必要性②雇止め回避努力③人選の合理性④手続の相当性 本件は経営上の必要性に基づく雇止めであり,①人員削減の必要性②雇止め回避努力③人選の合理性④手続の相当性について判断されているところ,原判決と判断が分かれた理由は,勤務時間の短縮による調整についての評価である。 それぞれの主張及び裁判所の判断は以下のとおりである。〔雇止め〕 第1章 期間の定めのない雇用契約の終了と社会通念上同視できる場合 日本郵便(苫小牧支店・時給制契約社員雇止め)事件

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