156〔Xの主張〕1) Y社がXに対して,事前に労働時間の短縮に応じれば,雇止めの対象から除外されるということを告知していないにもかかわらず,労働時間の短縮に応じたXより人事評価の低い期間雇用社員を優先的に雇止めの対象から除外したことは極めて不合理である。Xは,そうした方針を告知されていなかったために,Xより人事評価の低い期間雇用社員3名が雇止めの対象になると考えており,雇止めされる危険性を認識していなかった。仮に,Xが雇止めされる可能性があること等必要な情報を告知されていれば,Xは昨今の苫小牧市を含めた北海道の雇用情勢の悪化から労働時間の短縮に応じていた。こうした情報の告知もなく,Xが労働時間の短縮に応じて生計が立てられるかについて十分検討する機会すら与えられずにされた本件雇止めの手続は不相当である。2) 雇止め対象者の人選の基準となった人事評価自体が客観性を欠くし,業〔Y社の主張〕1) 雇止め対象者の人選については,労働時間の短縮に応じた社員を雇止めにするわけにはいかないから,これらの者を雇止め対象者から除外したのはやむを得ない合理的な措置である。Xは,労働時間の短縮に応じれば雇止めの対象から外れる旨の説明を受けていれば,これに応じていた可能性があるというが,面談の時点では,Y社は労働時間の短縮による調整の可否を検討中であり,雇止め自体を行うか否かについても未確定の状態であっただけでなく,仮に時給制契約社員の全員が労働時間の短縮に応じた場合,短縮時間によってはなお雇止めをしなければならない可能性があるから,労働時間の短縮に応じれば雇止めの対象となることはない旨を告知することは不可能である。 1審,2審ともY社の主張を採用し相当の雇止め回避努力をしたと認定した。ただし,労働時間の短縮による調整については,⑶で述べるとおり判断が分かれている。務内容が異なる者を区別せずに雇止め対象者を選別した点も不合理である。〔雇止め〕 第1章 期間の定めのない雇用契約の終了と社会通念上同視できる場合⑶ 人選の合理性
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