勝因分析・敗因分析176遵守及び勤務態度上の問題に当たるとはいえないものであり,契約更新の拒絶は違法である。 裁判所の認めた部分に限ってみても,Xの勤務態度には問題があったと評価できるものであるが,雇止めが認められるためには,やはりそれぞれがそれなりに重大なものである必要がある。特に,裁判所は実際に業務を拒否したものではないのであれば,「実害」が発生していないので影響は大きくないと判断する傾向にある。 また,本件のように重大な非違行為を犯したというのではなく細かい事案の積み重ねで雇止めにする場合には,立証の難易度も上がる。実際に本件でも②と⑤については事実関係自体が認められないと判断されており,そのことが雇止めの可否の判断に大きく影響していると思われる。実際に雇止めを行う場合には,個々の事実関係を立証できるのか,十分に吟味する必要があろう。 なお,定年後再雇用としての有期雇用契約の場合,法律で原則65歳までの雇用義務が定められており,雇用継続に対する合理的期待の存在が原則として認められるものと考えられる。〔雇止め〕 第2章 雇用契約更新への合理的期待
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