判解雇
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第3 懲戒処分の種類3 懲戒処分の種類 懲戒処分には,一般的に,軽いものから順に,①けん責,②減給,③出勤停止,④降格,⑤諭旨解雇,⑥懲戒解雇などが制度化されている。 これらは,事案の性質等に応じて相当な処分でなければならない。① けん責は,始末書を提出させて将来を戒める処分である。なお,けん責と同様に将来を戒める処分ではあるが,始末書の提出を求めない処分として,戒告という制度を設けている企業もある。179則で定めておく必要があると解される。 そして,懲戒権の根拠として就業規則などの契約上の根拠が求められることからすれば,就業規則上の懲戒事由や手段は限定列挙であると解される。 もっとも,上述のように使用者が労働者を懲戒することができる場合があるとしてもそこには限界があり,「使用者が労働者を懲戒することができる場合において,当該懲戒が,当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,当該懲戒は,無効とする。」(労契法15条)とされている。 すなわち,懲戒処分の事由と手段が就業規則などで定まっており,労働者の問題行為が形式的には,就業規則上の懲戒事由に該当するように思える場合であっても,労働者の問題行為の性質及び態様その他の事情に照らして,客観的に合理的な理由があり,社会通念上相当であると認められなければ当該懲戒処分は無効と判断されることになるため,懲戒事由への該当性,当該処分の相当性については,実質的な判断が求められることになる。② 減給は,賃金を一定額減額する処分であり,労働基準法上の制約がある(労基法91条では,1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え,総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならないとされている。)。これは,賃金が労働者の生活に直接影響を及ぼすものであるためである。③ 出勤停止は,労働契約を存続させつつ労働者の就労を一定期間禁止する〔懲戒〕

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