事案の概要188最判平成24年4月27日労判1055号5頁東京高判平成23年1月26日労判1025号5頁東京地判平成22年6月11日労判1025号14頁メンタルヘルス不調に起因する欠勤を理由とする諭旨退職処分の有効性について1審と2審で判断が分かれた事例 本件は,被害妄想的な言動を繰り返し,出勤督促をしても約40日の連続無断欠勤をしたXに対して「正当な理由なしに無断欠勤引き続き14日以上に及ぶとき。」との懲戒事由に該当することを理由としてY社が諭旨退職処分を行ったところ,Xが処分無効を主張して雇用契約上の地位の確認等を求めた事案である。 Y社は以下のような経緯でXに諭旨退職処分を行った。 Xは平成20年4月上旬以降,Y社に対し,日常生活が監視され,Xの情報がY社の従業員等により共有されており,Y社の従業員がXに嫌がらせをしている(以下,単に「本件被害事実」ということもある。)として,調査を依頼した。 Xは同月8日以降有給休暇を取得して出社しなくなり,同月22日及び同年5月14日に特例の休暇を認めてもらえるよう依頼したが,Y社はこれを認めなかった。 Y社は,ヒアリング及びX提出資料の調査の結果,本件被害事実はないとの結論に達し,同年6月3日,Xに対し,その旨回答した。 Xの有給休暇は同日には全て消化された状態となったが,Xは翌4日以降同年7月30日まで欠勤を継続した。 Y社は,Xに対し,同月25日,就業を命ずるメールを送信し,また,Xが何らかの対応を求めたことから,同月30日,存在しない事実を理由とした異動の検討は行わない旨メールで回答した。 その後Xは同月31日に出社したが,Y社は同年8月1日にXに対し6月上〔懲戒〕 第1章 職務懈怠・業務命令違反 日本ヒューレット・パッカード事件
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