根抵当権実務必携Q&A
21/32

第一章総説者所有の不動産に設定した場合。ある商品を作るメーカーとそれを売る小売店との間で、メーカーが月初めに商品を小売店に納入し、小売店は、その商品を売りさばいた売り上げから、その商品の代金を月末にメーカーに支払うという取引が行われていたとする。メーカーは、商品を納入しても、その代金の回収は月末となるため、その間小売店に対する金銭債権を有することとなる。この事案では売掛金債権である。メーカーにとっては、月末にならないと金銭債権を回収できるか否かわからない不安定な立場に立つこととなる。債権を回収できない場合に備え、担保を取りたいと考えるのが通常であろう。そこで小売店の有する不動産に担保物権を設定することを選択したとする。仮に、普通抵当権を利用した場合には、図の右側に書いてあるように、月初めに売掛金債権を被担保債権とする抵当権を設定し、月末に金銭債権を回収できた場合には、抵当権を弁済により抹消するという手続を毎月繰り返さなければならない。これはかなり面倒である。第一章 総説 3 

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る