第一章総説保されるのか。債権者と債務者の間で、債権の範囲に属する被担保債権が新たに生じた場合、つまり根抵当権の設定時には生じていなかったものの、設定後に3つの条件を満たす債権が生じた場合には、その被担保債権が、この三角形の筒に入り根抵当権の被担保債権となる。そして、債権譲渡、代位弁済等で移転した場合には、この筒の下から抜け落ちていく。つまり、根抵当権の被担保債権から離脱する。先程のメーカーと小売店との取引では、4月1日に売掛金債権が生じると、この三角形の筒のなかに、一旦は入り根抵当権の被担保債権となる。しかし、4月30日に代金が弁済されれば、この筒の下から抜け落ちて根抵当権の被担保債権ではなくなる。そして、また翌月の5月1日に債権が生じると筒に入り、根抵当権の被担保債権となり、5月30日に弁済されれば、この筒から抜け落ちて根抵当権の被担保債権ではなくなる。これを繰り返すのが元本確定前の根抵当権の特質である。第4 元本確定後の根抵当権ある一定の事由(元本確定事由)が生じると被担保債権が特定され、元本が確定し、根抵当権はその法律的な性格が大きく変わる。以降は、新たに生じた債権は、たとえ「債権者」「債務者」「債権の範囲」に含まれる債権であっても、当該根抵当権では一切担保されない。そして、抵当権のように(抵当権と完全に同じではない。)すべての債権が弁済されると、根抵当権は消滅する(附従性)。また、債権譲渡等により被担保債権が移転すれば、それに伴って根抵当権も移転するようになる(随伴性)。これを元本確定前の根抵当権と区別するため「元本確定後の根抵当権」と呼んでいる。第一章 総説 7
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