健康広告
5/40

公益社団法人日本広告審査機構(JARO)の2019年度上半期の審査状況によれば,2019年度上半期(2019年4月〜9月)にJAROが受け付けた広告・表示に対する苦情は4501件(前年同期3911件,同期比115.1パーセント)と増加傾向にある。「苦情」4501件を申立内容別に見ると,大別して⑴表示,⑵表現,⑶手法に対するものに分かれ,その「表示」に関しても2433件(前年同期1823件,同期比133.1パーセント)と増加している。なお,苦情のうち表示が占める割合が高い業種は「健康食品」,「携帯電話サービス」,「化粧品」となっている。本書は,このような苦情報告の多い健康食品をはじめ,医薬品・医療関連の広告について解説するものである。健康・医薬品・医療関連の広告に関しては,様々な法律が関係する。この分野に特有の健康増進法・食品表示法・食品衛生法・薬機法・医療法,広告表示全般に注意を要する景品表示法・特定商取引法のほか,消費者契約法・不正競争防止法・独占禁止法などもあり,横断的な理解を要する。また,この分野には,健康関連のサービス,健康食品,医薬品,美容医療,美容サービス,化粧品など多様な商品・サービスがあり,その広告に関しては弁護士とともにメーカー,小売業者,通販業者,広告担当者,サービス提供者など多くの者が関与している。本書は,増加する広告表示のトラブルに対応すべく企画され,弁護士で薬剤師でもある赤羽根と,消費者法関連の経験が豊富な井上により,健康・医薬品・医療等の広告・表示に関する弁護士実務,企業活動を行うために必要な法知識を横断的に解説した書籍である。この分野においては,実務家,業界関係者等は法律とともに政省令,判例,通達等に精通する必要があるが,「どこに,何に関して記載されているかが分かりづらい」との声をよく聞く。また,関わる法律が多岐にわたるため,どこから手をつけ,何を意識しておけばいいのかも分かりづらい。本書はまさにそれらの声にこたえるものであり,「法律・省令による根拠は何か」,「裁判例,行iは し が き

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る