独知
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4高めて事業活動を活発化させ,②消費者は,より安く品質の高い商品を手に入れることができ,③社会全体においても,価格・品質競争の中で,イノベーションが促進されることとなり,社会経済が発展する3。独禁法は,このような市場メカニズムを機能させるため,公正かつ自由な競争の促進を図り,各種の規制を置いている。3 独禁法の運用機関独禁法の運用は,公取委が担当している。公取委は,内閣府の外局であるが,いわゆる行政委員会として,他の行政機関から指揮監督を受けることなく,独立して職権を行うことが認められている。公取委は,後述するように違反事業者に対し,課徴金納付命令や排除措置命令といった法的措置を行うほか,独禁法等について各種ガイドラインを定めるなどしている(ガイドラインについてはQ3参照。)。4 独禁法の主な規制①:私的独占独禁法の主な規制としては,私的独占,不当な取引制限及び不公正な取引方法が挙げられる4。以下,私的独占から順にこれらの規制についての概要を説明していく。私的独占とは,①事業者が,単独に,又は他の事業者と結合し,若しくは通謀し,その他いかなる方法をもってするかを問わず,他の事業者2 判例(最判昭和59年2月24日刑集38巻4号1287頁)上,独禁法の直接の目的は,公正かつ自由な競争であるが,その究極の目的は,「一般消費者の利益を確保するとともに,国民経済の民主的で健全な発達を促進すること」(独禁法1条)にあるとされる。3 幕田英雄『公取委実務から考える独占禁止法』(商事法務,2017)5〜6頁。4 独禁法上の規制として,ほかに事業者団体の規制,企業結合の規制,独占的状態の規制があるほか,同法の補完として,下請代金支払遅延等防止法(下請法)による規制もあるが,ここでは主な規制として,私的独占,不当な取引制限及び不公正な取引方法を取り上げることとする。第1章 基礎知識編〜まず押さえておきたい知的財産権と独禁法との交錯の出発点〜

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