ア 排除行為(排除型私的独占)の事業活動を排除し,又は支配することにより,②公共の利益に反して,一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう(独禁法2条5項)。独禁法は,事業者が他の事業者の事業活動を排除・支配することによって,市場における競争が制限されると,市場メカニズムが機能しなくなるため,私的独占を規制している。公取委の実務においては,①のように,一定の行為が必要とされる部分を行為要件ないし弊害要件といい,②のように,一定の取引分野における競争を実質的に制限するという効果が必要とされる部分を効果要件ないし市場効果要件という5。また,私的独占における①の行為要件について,「排除」に該当するものを排除型私的独占といい,「支配」に該当するものを支配型私的独占という(「排除」,「支配」のそれぞれの意義については後述する。)。まず,私的独占の行為要件である排除型私的独占及び支配型私的独占の概要について説明し,その後,効果要件について説明する6。⑴ 行為要件私的独占の行為要件は,排除行為又は支配行為である。排除行為とは,他の事業者の事業活動の継続を困難にさせたり,新規参入者の事業開始を困難にさせたりする行為であって,一定の取引分野における競争を実質的に制限することにつながる様々な行為をいう7。排除行為に該当するためには,他の事業者の事業活動が市場から完全5 前掲注3)幕田19頁参照。6 市場効果要件については,排除型私的独占と支配型私的独占とで基本的に同一であると解されるので(村上政博ほか『条解独占禁止法』(弘文堂,2014)55頁),それぞれの類型の行為要件について説明した後,まとめて説明することとする。Q1 独禁法とは?5
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