【図表1―1】コスト割れ供給排他的取引抱き合わせ供給拒絶・差別的取扱い6に駆逐されたり,新規参入が完全に阻止されたりする結果が現実に発生していることまでは必要とされず,他の事業者の事業活動の継続を困難にさせたり,新規参入者の事業開始を困難にさせたりする蓋然性が高いといえれば,足りるとされている8。排除行為の類型としては,【図表1―1】記載のものが挙げられる9。排除型私的独占に該当すると判断された事案として,NTT東日本事件が挙げられる。同事件では,光ファイバ通信サービス等を行うに際し,独自の光ファイバ設備を持たない他の通信事業者は,大手通信事業者A社の設備に接続した上で戸建て住宅向け光ファイバ通信サービスを行わざるを得ない状況であった。そのような中で,A社は,独自に光ファイバ通信サービス等を行うに際し,他の通信事業者がA社に支払うべき接7 公取委「排除型私的独占に係る独占禁止法上の指針」(https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/haijyogata.html)第2の1⑴。8 前掲注7)公取委第2の1⑴。9 前掲注7)公取委第2の1⑵,同2⑴,同3⑴,同4⑴及び同5⑴。第1章 基礎知識編〜まず押さえておきたい知的財産権と独禁法との交錯の出発点〜ある商品について,その商品を供給しなければ発生しない費用を下回る対価を設定する行為相手方に対し,自己の競争者との取引を禁止し,又は制限することを取引の条件とする行為相手方に対し,ある商品の供給(又は購入)に併せて他の商品を購入(又は供給)させる行為供給先事業者が市場(川下市場)で事業活動を行うために必要な商品について,合理的な範囲を超えて供給拒絶等をする行為
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