独知
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続料金を下回るユーザー料金を設定したが,かかる行為について,排除型私的独占に該当すると判断された(最判平成22年12月17日民集64巻8号2067頁。この事案では,A社以外の通信事業者がユーザーを得るためには,A社の設備への接続料金を下回るユーザー料金を設定せざるを得ず,事業開始が著しく困難となる点が問題視された。)。イ 支配行為(支配型私的独占)支配行為とは,他の事業者を直接間接に拘束し,あるいは強制することによって,その事業活動を自己の意思に従わせることをいう10。例として,具体的に相手方の意思決定を拘束し,干渉する行為や,株式保有等の会社組織上の企業結合行為を通じて,相手方の意思決定に干渉し得る地位を強化する行為が挙げられる11。⑵ 効果要件ア 一定の取引分野一定の取引分野とは,一般に,競争が行われる場,すなわち一定の供給者群と需要者群との間に成立する,いわゆる市場のことである12。特に,私的独占においては,排除行為又は支配行為によって競争の実質的制限がもたらされる範囲をいう。その範囲は,基本的には,具体的行為や取引の対象・地域・態様等に応じて,排除行為又は支配行為に係る取引及びそれにより影響を受ける範囲を検討し,その競争が実質的に制限される範囲を画定して決定される13。イ 競争の実質的制限競争の実質的制限とは,一般に,市場支配力を形成,維持,強化する10 前掲注1)根岸ほか66頁。11 前掲注3)幕田138頁。12 前掲注1)根岸ほか38〜39頁。13 前掲注7)公取委第3の1⑴。Q1 独禁法とは?7

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