独知
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第3章 応用編其の弐〜独禁法における最新トレンド〜1126 まとめここまでみてきたように,一口にデジタルカルテルといっても,前記2から5のとおり分析的に検討すれば,それは,単にアルゴリズムを道具として用いただけで従前のカルテルと構造は変わらないものから,アルゴリズム特有の問題であって現在の独禁法では対応が困難な事象まで,様々な問題が混在する概念であるといえる。したがって,価格決定過程にアルゴリズムが関与しているものを全てデジタルカルテルであると整理することはあまり有益な議論ではない。問題となる事案において,どの過程にアルゴリズムが利用されているのか,アルゴリズムの利用の前提として人の意思の連絡は存在するのか,どのような人の意思に基づいて何の目的でアルゴリズムが利用されているのかといった事実関係を整理して,従前の独禁法の議論での対応可能性を冷静に検討する必要がある。

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