17・18参照)を通じて,直接的な契約関係にない者同士が,デジタル・プラットフォームを介して間接的に連結されている市場構造にその特徴がある。【図表10―1】でいえば,特定のデジタル・プラットフォームを選択する商品の出品者の数が増加すれば,より多くの消費者(利用者)を引き付けることが可能となり,逆により多くの消費者(利用者)がそのデジタル・プラットフォームを選択すれば,より多くの出品者がそのデジタル・プラットフォームに集まることになる(これを「間接ネットワーク効果」という。)。17 多面市場の一方の市場における競争制限効果を他方の市場における競争促進効果で考慮してよいかという問題につき,多面市場の一面への影響だけで判断するのではなく,一方の需要者と他方の受領者を合わせた全体への影響に基づいて判断すべきであるとの判断を示した事例として,アメックス事件アメリカ連邦最高裁判決(Ohio v. American Express Co., 138 S.Ct. 2274, 201 L.Ed.2d 678, 86 USLW 4561, 2018-1 Trade Cases P 80,427 (2018))参照。同判決では切替禁止条項(店頭でカード利用者がアメックスカードを提示して支払をしようとしたときは,加盟店は他のカード会社のクレジットカードを推奨してはならないとするもの。)が問題となったが,シャーマン反トラスト法1条に違反しないとの判断がなされた。同判決の評釈として井畑陽平「『取引型』の二面プラットフォームによる垂直的な制限とシャーマン反トラスト法1条−アメックス事件連邦最高裁判決−」公正取引821号(2019)19頁以下参照。また,公取委によるクレジットカードに関する取引実態調査報告書の概要の解説の中で間接ネットワーク効果について触れるものとして,山田真由葉・叶内彩香「『クレジットカードに関する取引実態調査報告書』の概要について」公正取引824号(2019)33頁参照。18 これに対し,利用者が増えることそのものにより,提供されるサービス・財自体の価値が増すことを直接ネットワーク効果という。Q10 デジタル・プラットフォーム事業の“いま”115
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